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自賠責保険の後遺障害等級は、一定の基準に基づいて認定されています。下記では、自賠責保険の後遺障害等級認定のポイントをまとめています。
目 次 1.自賠責保険の後遺障害等級認定と認定基準 2.「後遺障害」とは 3.損害保険料率算出機構における後遺障害等級認定 4.後遺障害等級認定にあたってのルール (1)併合 (2)相当 (3)加重 5.まとめと留意点 |
1.自賠責保険の後遺障害等級認定と認定基準
自賠責保険の後遺障害等級認定は、自動車損害賠償保障法16条の3に基づいて定められた自賠責保険支払基準により、原則として労災保険の認定基準に準拠することとされています。
労災保険の認定基準には、身体の部位(眼−眼球、まぶた、耳−内耳等、耳介など)と部位に対応する障害群(眼−眼球⇒視力障害、調節機能障害、運動障害、視野障害)を区分した「障害の系列」と労働能力喪失の程度に応じて1級から14級に配列された「障害の序列」を定めた障害等級表があり、部位別に障害等級の認定基準が定められています。
自賠責保険の後遺障害は、「介護を要する後遺障害」について1級と2級、「その他の後遺障害」について1級から14級まであり、各等級ごとに限度額(保険金額)が定められています(自動車損害賠償保障法施行令別表第一及び第二)。
2.「後遺障害」とは
労災保険の認定基準では後遺障害の定義が設けられており、以下の4つの要素から構成されています。この定義は、自賠責保険の後遺障害等級認定でも重視されています。下記のいずれか1つの要件が欠けても、後遺障害と認定されません。
後遺障害とは、 ①傷害がなおったとき(症状固定時)に残存する当該傷害と相当因果関係があり、 ②将来においても回復困難と見込まれる精神的または身体的なき損状態で、 ③その存在が医学的に認められ、 ④労働能力の喪失を伴うもの |
上記①の「傷害がなおったとき」とは、これ以上治療を継続してもその効果が期待できない状態で、残った症状が自然的経過によって到達すると認められる最終状態(症状固定)に達したときをいいます。
また、上記④の「労働能力」とは、一般的な平均的労働能力をいい、被害者の年齢、職種、利き腕、知識、経験等の職業能力的諸条件については、障害の程度を決定する要素にはなっていません。
3.損害保険料率算出機構における後遺障害等級認定
症状固定時に残っている障害が労災保険の認定基準に該当するかどうかの判断を行っているのは、損害保険会社ではなく、損害保険料率算機構(損保料率機構)という第三者機関です。損保料率機構では、提出された診断書、診療報酬明細書、後遺障害診断書、X-P、MRI等の画像、その他の検査結果を基に顧問医に相談のうえ、後遺障害等級認定を行なっています。
しかし、労災保険の認定基準には抽象的に規定されている部分があるため、顧問医や担当者により等級の判断が異なることが起こりうる後遺障害があります。このような後遺障害の代表例は下記の4つです。
4.後遺障害等級認定にあたってのルール
①複数の後遺障害が残った場合、②自賠法施行令別表第一及び第二に定められていない後遺障害が残った場合、③事故発生前に既に障害があった場合については、以下のとおり、併合、相当または加重として取り扱われます。
(1)併合
系列の異なる複数の後遺障害が残った場合には、最終的には1つの等級を定める必要がありますが、そのために「併合」という取扱いがなされます。併合には以下の原則があります。
①別表第二5級以上の後遺障害が2つ以上残存 ⇒ 重い方の等級を3つ繰り上げる ②別表第二8級以上の後遺障害が2つ以上残存 ⇒ 重い方の等級を2つ繰り上げる ③別表第二13級以上の後遺障害が2つ以上残存 ⇒ 重い方の等級を1つ繰り上げる ④上記以外の場合 ⇒ 最も重い等級を採用する |
①両眼球の視力障害、調節機能障害、運動障害、視野障害の各相互間 ②同一上肢の機能障害と手指の欠損又は機能障害 ③同一下肢の機能障害と足指の欠損又は機能障害 |
一方、併合できない例外的なケースとして、以下が挙げられます。
①複数の後遺障害に該当するように見えるが、1つの障害を複数の観点で評価しているに過ぎない場合 |
(例)大腿骨に変形を残した(12級8号)結果、同一下肢を1cm短縮した(13級8号)場合
⇒上位等級である12級8号認定
②1つの後遺障害に他の後遺障害が通常派生する関係にある場合 |
(例)1上肢に偽関節を残す(8級8号)とともに、当該箇所に頑固な神経症状を残した(12級13号)場合
⇒上位等級である8級8号認定
(2)相当
自賠責保険の後遺障害は、自賠法施行令別表第一及び第二に定められていますが、これに該当しない後遺障害についても、その程度に応じて各等級に相当するものとして等級を定めることとされています。これにより定められた等級を「相当」といいます。このような取扱いがされるケースとして下記の2つが挙げられます。
①ある後遺障害がいかなる後遺障害の系列にも属さない場合 |
(例)嗅覚脱失については、神経障害ではないが、全体として神経障害に近い障害とみなされていることから、一般の神経障害の等級として定められている12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」を準用して12級相当の後遺障害として取り扱う。
②ある後遺障害が属する系列はあるが、該当する後遺障害がない場合 |
(例)右肘関節の用を廃し(8級6号)、右肩関節に著しい機能障害を残した(10級10号)場合、併合の方法を用いて7級相当の後遺障害として取り扱う。
(3)加重
既に後遺障害のあった人が交通事故により同一部位にさらに傷害を負い、後遺障害の程度が重くなることを「加重障害」といいます。
既にあった後遺障害は、先天的なものかどうか、交通事故以外の事由によるかどうか等を問いません。この場合、加重後の後遺障害の保険金額から既存の後遺障害の保険金額を控除した額を限度として保険金が支払われます。
5.まとめと留意点
自賠責保険の後遺障害等級認定は、労災保険の認定基準に準拠しており、適切な後遺障害等級認定を受けるには、この認定基準について理解しておくことが大切になります。
症状固定となって医師に後遺障害診断書作成を依頼する前に、ご自身の障害の重さや認定基準のどの辺りに該当しそうかなどをある程度把握しておくことが、ご納得いく等級を受けるうえで望ましいと思います。
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