交通事故では衝突時や転倒時などに前腕骨(橈骨、尺骨)を骨折してしまうことがあります。
前腕骨の骨折は、骨折した部位などにより、骨幹部骨折、モンテジア骨折、橈骨遠位端骨折(コーレス骨折、スミス骨折)などに分けられますが、ここではモンテジア骨折の概要を記載しています。
1.モンテジア骨折の概要
モンテジア骨折とは、尺骨骨幹部骨折と橈骨頭の前方脱臼(解剖学的に正しくは腕橈関節の前方脱臼)を合併したものを言います。
手をついて転倒し、前腕の回内力(手のひらを下にするような運動)が強く働いたときに、この骨折が生じやすいとされています。
骨折に注意がいき、脱臼は見逃されやすいので、レントゲン写真での確認が必要とされています。
2.モンテジア骨折の治療
モンテジア骨折では、観血的整復を必要とすることが多いとされています。
成人では通常、尺骨骨幹部をプレートで正しい位置に保持する必要があり、ギプス固定を3週間ほど行います。
3.後遺障害等級との関係
(1)認定基準
モンテジア骨折に関する後遺障害の認定基準は、下記のとおりです。
◇疼痛等感覚障害(受傷部位の疼痛及び疼痛以外の感覚障害)
(2)認定される等級
橈骨・尺骨に一定の変形障害が残った場合には、8級(1上肢に偽関節を残すもの)もしくは12級(長管骨に変形を残すもの)の等級が認定されます。
変形障害が認められない場合でも、痛みなどの症状が残った場合には、12級もしくは14級の等級が認定されることがあります。
(3)参考事例
①上腕骨近位端骨折・橈骨頭骨折後の肩関節機能障害・複合性局所疼痛症候群(CRPS)について自賠責後遺障害併合7級が認定された事例
②左前腕骨骨折・上腕骨等骨折後の左上肢機能障害・醜状障害等について自賠責後遺障害併合10級が認定された事例
③橈骨頭骨折・肘骨折・踵骨骨折等による関節可動域制限・疼痛・CRPS等について障害年金2級が認定された事例
④前腕不全切断後の手関節・手指関節可動域制限などについて労災障害等級6級が認定された事例
⑤橈骨遠位端骨折後の痛み・痺れ等の症状について労災障害等級14級が認定された事例
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