交通事故では衝突時や転倒時などに上腕骨を骨折してしまうことがあります。
上腕骨の骨折は、骨折した部位により、上端部骨折、骨幹部骨折、下端部骨折に大きく分けられますが、 ここでは上端部骨折の概要を記載しています。
1.上腕骨上端部骨折の概要
上腕骨上端部骨折は、骨折した部位により、上腕骨骨頭、解剖頚骨折と上腕骨外科頚骨折に大きく分けられます。
(1)上腕骨骨頭、解剖頚骨折
この部位で骨折することは極めてまれと言われています。
関節内骨折のため、骨癒合が起こりにくく、機能障害を起こしやすいとされています。
(2)上腕骨外科頚骨折
上端部骨折で最も多い骨折で、骨癒合が良好な部位の骨折と言われています。
2.上腕骨上端部骨折の治療
上端部骨折の治療は、保存療法が基本となりますが、転位の大きいものは手術療法が必要となります。
上腕骨外科頚骨折では、懸垂ギプス包帯で7週間ほど固定する治療法がありますが、第3骨片が存在したり、骨折端間に軟部組織が入り込んでいる場合には、観血的整復法がとられます。
3.後遺障害等級との関係
(1)認定基準
肩関節に可動域制限(健側の3/4以上)が残った場合は、12級以上の等級が認定されます。
可動域制限が等級に該当しない場合でも、痛みの症状が残った場合には、12級もしくは14級の等級が認定されることがあります。
(2)参考事例
①上腕骨近位端骨折・橈骨頭骨折後の肩関節機能障害・複合性局所疼痛症候群(CRPS)について自賠責後遺障害併合7級が認定された事例
②左前腕骨骨折・上腕骨等骨折後の左上肢機能障害・醜状障害等について自賠責後遺障害併合10級が認定された事例
③肩関節脱臼・上腕骨近位端骨折・小指基節骨骨折後の可動域制限・痛み等について自賠責後遺障害併合13級から併合9級に変更された事例
④橈骨頭骨折・肘骨折・踵骨骨折等による関節可動域制限・疼痛・CRPS等について障害年金2級が認定された事例
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