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主治医の先生の診断・傷病名が、自賠責保険の後遺障害認定ではそのまま認められないことがあります。
例えば、主治医の先生からは事故による脊髄損傷との説明を受け、症状固定後に「中心性頸髄損傷」という傷病名の後遺障害診断書を提出したところ、自賠責保険からは脊髄損傷による障害とは認められないケースが挙げられます。
事故で大きな衝撃を受け、初診時から脊髄損傷の診断を受け、画像と神経学的所見などから脊髄損傷を裏付ける明らかな異常所見が認められるような場合には、通常はこのようなことは起こりません。
しかし、複数の病院・医師にかかって診断・傷病名が同じでも、医師により神経学的所見などが違っていることがあり、このようなときには後遺障害認定において医師の診断どおりに認められないことがあります。
その理由の一つとして、医師は治療を目的に診断をしているのに対し、後遺障害認定は保険金支払いのために労災保険の認定基準に基づいて等級認定をしていることが考えられます。
労災保険の認定基準の内容は、医師の治療目的の診断と比べると厳しいことがありますので、複数の医師が中心性頚髄損傷と診断しても、後遺障害認定では認定基準の要件を満たしていないとして、脊髄損傷による障害とは認められないことが出てきます。
このようなことは、反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)、高次脳機能障害や脳脊髄液減少症などでも見られます。
しかし、症状を裏づける明らかな客観的所見が認められるとは言えなくとも、障害について複数の医師が同じ診断をしており、診断理由等も適切と言える場合には、被害者救済の観点から、その診断どおりに認められても良いと思われるケースもあります。
なお、自賠責保険の後遺障害認定で医師の診断・傷病名を否定されてしまいますと、ご自身の障害の原因が何なのか不安になり、障害の原因を追求したくなることもあるかと思いますが、複数の医師の診断や診断理由などが同じでしたら、原因の追求に区切りをつけ、医師の説明にもとづいて治療に専念することも選択肢として考えられます。
(平成28年1月13日作成)
【関連ページ】
◇RSD(反射性交感神経性ジストロフィー)の後遺障害等級認定のポイント
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