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交通事故では骨折などにより関節に可動域制限の障害(関節機能障害)が残ってしまうことがあります。
このときの主な留意点として、関節可動域の測定方法と測定漏れ・記載漏れが挙げられます。
1.関節可動域の測定方法
関節可動域の測定結果は、後遺障害等級認定に大きな影響があります。原則として、健康な側と比較して他動値で4分の3以下に制限されていることが後遺障害認定の要件とされていますので、たとえ1度足りないだけで後遺障害が認定されないことがあり得ます。このため、病院での測定結果はとても大切になります。
関節可動域の測定については、労災保険の認定基準で、「日本整形外科学会及び日本リハビリテーション医学会により決定された『関節可動域表示ならびに測定法』に準拠して定めた『第2 関節可動域の測定要領』に基づき行うこととする」と記載されており、「角度計」を使用して測定(通常5度刻み)することとされてています。
しかし実際のところ、医師は角度計を使わず、その経験に基づいて感覚で測定していることが多い印象があります。また、測定の際に、関節をかなり強く曲げられたとよく耳にします。
このように関節可動域の測定は、実際のところ医師の感覚的なところがあり、わずかな違いで認定に違いが出てくることもあります。できれば日頃から医師とは良好な関係を保っておかれると色々な面で良いように思います。わずかな違いの場合は、測定し直してもらえる可能性もあります。
ただ、後遺障害認定の実務では、後遺障害診断書に記載される関節可動域の測定結果だけでなく、途中の経過も見られることがあります。仮に症状固定の時に12級程度の可動域制限が認められても、それまでの測定結果と比べて大きく悪化している場合には、その医学的理由が求められたり、経過が不自然として後遺障害と認められないこともあります。
2.関節可動域の測定漏れ・記載漏れ
関節可動域制限が残っていても、医師が全てまたは一部について測定をしていないことも珍しくありません。特に手指と足指、肩の可動域(肩の複数の運動のうち一部のみ測定)に漏れが見られることがあります。
手指や足指を骨折して可動域制限が残ったときには可動域の測定がされることが多いと思いますが、手首の骨折や下腿骨の骨折で神経を損傷したようなときには手指や足指の可動域を測定しないこともあります。
このため、もし関節の動きが悪いようでしたら、早めに医師にお話しして可動域を測定いただいて、後遺障害診断書にも測定結果を記載していただいた方が良いといえます。
(平成26年4月7日作成、令和5年10月7日更新)
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