むち打ち症(頚椎捻挫)の後遺障害認定は、以前よりは厳しくなっている印象があります。それは以前なら最初の請求で後遺障害14級と認められていたような方が後遺障害非該当となり、後遺障害12級に該当しそうな症状や所見のある方が、ようやく最初の請求で後遺障害14級に認定されている印象があるからです。
このため、むち打ち症の症状でお困りの方で後遺障害請求を考えていらっしゃる方は、最初の請求で後遺障害が認定されなかった場合に、異議申し立てを行うかどうかの対応についても、最初の請求の段階で考えておかれることが望ましいと思います。
むち打ち症の後遺障害14級と後遺障害非該当の違いは、自賠責保険の後遺障害等級認定において準拠している労災保険の認定基準上も明確ではありませんが、主に事故状況、物損状況、医療機関、治療期間、治療内容、通院状況、画像所見、神経学的所見、診断書の記載内容等から総合的に判断されていると思います。
むち打ち症の症状の内容や程度は、被害者の方ごとに大きな違いがありますので、医師の指導に基づいてきちんと治療を受けてきたにもかかわらず痛みやしびれなど一定の症状が残ってしまい、担当医師も後遺障害の残存を認め、やむを得ず後遺障害の請求をしたような場合には、最終的に後遺障害14級が認定されなかったときでも一応後遺障害として認め、症状の内容・程度、医師の所見等に応じた賠償(例えば労働能力喪失率5%未満でも認める、一定額を支払う等)を受けられるようにすることが望ましいと思います。
しかし現在の制度では後遺障害14級と認められるか否かで賠償額が大きく変わってきますので、むち打ち症の後遺障害認定を希望される方は、最初の請求の段階から慎重な対応が必要になってくると思います。
(平成26年2月12日作成、令和5年7月26日改訂)
【取扱事例】
◇自転車同士の事故での頚椎捻挫について人身傷害保険から12級13号が認定された事例
◇頚椎捻挫後の頚部痛・上肢痛等について自賠責後遺障害併合12級が認定された事例
◇頚椎捻挫後の頚部痛等について自賠責後遺障害非該当から14級9号に変更された事例
◇頚椎捻挫後の頚部痛等について自賠責後遺障害非該当から14級に変更された事例
◇頚椎捻挫後の頚部痛等について自賠責後遺障害非該当から14級9号に変更された事例
◇頚部痛等について2回目の異議申立で自賠責後遺障害非該当から14級9号に変更された事例
◇頚椎捻挫の症状について異時共同不法行為で自賠責後遺障害14級9号が認定された事例
◇頚椎捻挫後の頚部痛等について自賠責後遺障害14級9号が認定された事例
◇頚椎捻挫後の頚部痛・手のしびれ等について自賠責後遺障害非該当から14級9号に変更された事例
◇頚椎捻挫後の頚部痛、両上肢痺れ等について自賠責後遺障害非該当から14級に変更された事例
【関連ページ】