交通事故では衝突時や転倒時などに大腿骨を骨折してしまうことがあります。
大腿骨の骨折は、骨折した部位などにより、大腿頚部骨折、大腿骨骨幹部骨折などに分けられますが、ここでは大腿骨遠位部骨折の概要を記載しています。
1.大腿骨遠位部骨折の概要
大腿骨遠位部骨折は、顆上骨折と顆部骨折に分けられます。大腿骨顆上骨折は大腿骨遠位骨幹端に生じる骨折で、関節内に骨折線が及ぶことも少なくないとされています。
症状は膝部の強い腫張と疼痛、局所の圧痛や介達痛を認め、骨折部の転位が大きい場合には変形を生じます。関節内に骨折が及ぶと関節内にも大量の出血を生じます。また、神経血管損傷を合併することがあるとされています。
2.大腿骨遠位部骨折の治療
観血的治療が原則とされています。関節面の整復が非常に重要視されており、手術は外側からの進入法がよく用いられています。内固定には、angled blade plate、compression screw system、髄内釘など様々な材料が使われます。
著しい軟部損傷を伴う開放骨折や全身状態が不安定な多発外傷の場合には、創外固定が行われます。
術後はギプス固定を行い、できるだけ早期に可動域訓練を開始します。荷重は術後6〜8週で部分荷重、全荷重は術後3ヶ月前後とされています。
3.後遺障害等級との関係
(1)認定基準
大腿骨遠位部骨折に関する障害の自賠責保険と労災保険の認定基準は、下記になります。
◇疼痛等感覚障害(受傷部位の疼痛及び疼痛以外の感覚障害)
(2)認定される等級
大腿骨遠位部骨折により膝関節に一定の可動域制限(健側の3/4以上制限)などが残った場合には、12級以上の等級が認定されます。
可動域制限が認められない場合でも、痛みなどの症状が残った場合には、12級もしくは14級の等級が認定されることがあります。
(3)参考事例
①大腿骨骨折・下腿開放骨折・足関節骨折等後の関節機能障害等について自賠責併合8級が認定された事例
②右大腿骨骨幹部骨折等後の右下肢痛について自賠責後遺障害非該当から14級に変更された事例
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