交通事故では打撲等の比較的軽微な受傷によっても、受傷部位に激しい疼痛が残ってしまうことがあります。この激しい疼痛について、CRPS(複合性局所疼痛症候群)やRSD(反射性交感神経性ジストロフィー)と診断されることもあります。
ここでは、CRPSの概要をまとめています。
1. CRPSの概要
CRPSは1994年に国際疼痛学会がRSDに代わる新しい疾患名として提唱し、診断基準が発表されたものです。神経損傷を伴わないもの(従来のRSD)はCRPS typeⅠ、神経損傷を伴うもの(従来のカウザルギー)はtypeⅡと定義されています。
日本では厚生労働省CRPS研究班が結成され、日本版のCRPS判定指標が作成・公表されています。
2. CRPSの診断
CRPSは時期や病型によって多彩な症状を示すため、診断は必ずしも容易ではないとされています。しかし、早期診断・早期治療が予後を左右するため、早期の診断・加療が非常に大切とされています。
3. CRPSの症状
CRPSの基本的な症状として、痛み、腫脹、関節拘縮・こわばり、皮膚の変化の4つが挙げられます。交感神経の反射異常による二次変化として、発汗・温度の変化、骨萎縮、栄養障害、血行障害などが挙げられます。
4. CRPSの治療
CRPSの治療として、運動療法、作業療法、温冷交代浴、ブロック注射、薬物療法、神経電気刺激法、精神医学的治療、手術などが挙げられます。
痛みの部位に意識を集中させないように指導するなどの患者教育も重要とされています。
5. 後遺障害等級との関係
(1)認定基準
RSDについては、労災保険の認定基準で7級、9級、12級が定められています。
◇RSD(反射性交感神経性ジストロフィー)の後遺障害等級の基礎知識
(2)参考事例
①脛腓骨骨幹部粉砕骨折・足関節外果骨折・CRPS等による可動域制限・痛み・痺れ等について自賠責後遺障害併合6級が認定された事例
②上腕骨近位端骨折・橈骨頭骨折後の肩関節機能障害・複合性局所疼痛症候群(CRPS)について自賠責後遺障害併合7級が認定された事例
【参考ホームページ】