労災事故による療養のために働くことができず、1年6ヶ月を経過してもなお一定の傷病が残っているときには、労災保険から「傷病補償年金」(業務災害の場合)、「複数事業労働者傷病年金」(複数業務要因災害の場合)もしくは「傷病年金」(通勤災害の場合)の給付が行われます。
それぞれの給付の概要と手続きは下記のとおりです。
1.傷病補償年金−業務災害の場合−
(1)支給事由と給付の内容
傷病補償年金は、下記の要件を満たすときに、労働基準監督署長の決定により、それまでの休業補償給付に代えて支給されます。 労働者から請求する必要はありません。
①傷病が療養開始後1年6ヶ月経過した日に治っていないこと
②傷病による障害の程度が傷病等級表に定める傷病等級(1〜3級)に該当すること
等級 | 給付内容 | 障害の状態 |
1級 | 当該障害の状態が継続している期間1年につき給付基礎日額の313日分 | 1.神経系統の機能又は精神に著しい障害を有し、常に介護を要するもの 2.胸腹部臓器の機能に著しい障害を有し、常に介護を要するもの 3.両眼が失明しているもの 4.そしゃく及び言語の機能を廃しているもの 5.両上肢をひじ関節以上で失ったもの 6.両上肢の用を全廃しているもの 7.両下肢をひざ関節以上で失ったもの 8.両下肢の用を全廃しているもの 9.前各号に定めるものと同程度以上の障害の状態にあるもの |
2級 | 同277日分 | 1.神経系統の機能又は精神に著しい障害を有し、随時介護を要するもの 2.胸腹部臓器の機能に著しい障害を有し、随時介護を要するもの 3.両眼が視力が0.02以下になっているもの 4.両上肢を腕関節以上で失ったもの 5.両下肢を足関節以上で失ったもの 6.前各号に定めるものと同程度以上の障害の状態にあるもの |
3級 | 同245日分 | 1.神経系統の機能又は精神に著しい障害を有し、常に労務に服することができないもの 2.胸腹部臓器の機能に著しい障害を有し、常に労務に服することができないもの 3.一眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になっているもの 4.そしゃく又は言語の機能を廃しているもの 5.両手の手指の全部を失ったもの 6.第1号及び第2号に定めるもののほか、常に労務に服することができないものその他前各号に定めるものと同程度以上の障害の状態にあるもの |
年金は、偶数月に前月分をあわせて、傷病が治るまで支給されることになっています。上記等級に該当しない場合には引き続き休業補償給付が行われます。どちらの場合も後に状況が変わったときには、傷病補償年金から休業補償給付へ、もしくは、休業補償給付から傷病補償年金へ給付内容が変わることがあります。
(2)手続き
療養開始後1年6か月を経過した日から1か月以内に、「傷病の状態等に関する届」(様式第16号の2)に医師または歯科医師の診断書等を添付して、労働基準監督署長に提出します。
2.複数事業労働者傷病年金−複数業務要因災害の場合−
(1)支給事由と給付内容
傷病補償年金と同一です。
(2)手続き
傷病補償年金と同一です。
3.傷病年金−通勤災害の場合−
(1)支給事由と給付内容
傷病補償年金と同一です。
(2)手続き
傷病補償年金と同一です。
4.第三者行為災害届
災害が第三者(加害者)の行為によって起こった場合には、「第三者行為災害届」についても労働基準監督署長に提出することが必要とされています。
第三者行為災害届には、交通事故証明書(交通事故の場合)、示談書の写し(示談成立の場合)、念書等の書類を添付することが必要とされています。
【参考ホームページ】
【関連ページ】