労災事故による療養のために働くことができず、会社から給与を受けられなくなったときには、労災保険から「休業補償給付」(業務災害の場合)、「複数事業労働者休業給付」(複数業務要因災害の場合)もしくは「休業給付」(通勤災害の場合)が行われます。
それぞれの給付の概要と手続きは下記のとおりです。
1.休業補償給付−業務災害の場合−
(1)支給事由
休業補償給付は、労働者が業務上の傷病による療養のために労働できないため、賃金を受けない日が通算して4日以上となった場合に支給されます。
(2)給付の概要
休業補償給付は、休業の4日目から休業が続く間支給されます。最初の3日間(「待機期間」と言われています)については、事業主が労働基準法上の休業補償を行う必要があります。
支給額は、給付基礎日額の100分の60に相当する額です。給付基礎日額は、原則として労働基準法の平均賃金に相当する額とされ、平均賃金は事故発生日もしくは発病日の直前3ヶ月間の賃金総額をその期間の暦日数で割って1日あたりの額が算出されます。
給付基礎日額には最低保障額があり、毎年見直しがなされます(令和5年8月1日から令和6年7月31日までの期間に適用される額:4,020円)。また、療養開始から1年6か月を過ぎたときと年金給付がなされるときには、年齢階層別に最低限度額と最高限度額が定められています。
認定される休業日数は、「休業補償給付・複数事業労働者休業給付支給請求書」(様式第8号)の「診療担当者の証明」の欄にある「療養のため労働することができなかったと認められる期間」の期間と日数が重視されています。軽作業に就くことができる状態まで回復したと認められる場合には、通院日のみを補償の対象とする扱いをしていると思います。
◇給付基礎日額の年齢階層別最低限度額・最高限度額(厚生労働省ホームページ)
(3)手続き
「休業補償給付・複数事業労働者休業給付支給請求書」(様式第8号)を、被災労働者の勤務先を管轄する労働基準監督署長に提出します。
2.複数事業労働者休業給付−複数業務要因災害の場合−
(1)支給事由
複数の就業先で就労する労働者が業務中に所定の傷病にかかり療養のために労働できないため、賃金を受けない日が通算して4日以上となった場合に支給されます。
(2)給付の概要
基本的には、休業補償給付と同一ですが、複数の就業先に係る給付基礎日額に相当する額を合算した額の100分の60となります。
また、最初の3日間(待機期間)については、休業補償給付と異なり、事業主に労働基準法上の休業補償を行う責任は生じません。
(3)手続き
「休業補償給付・複数事業労働者休業給付支給請求書」(様式第8号)を、被災労働者の勤務先を管轄する労働基準監督署長に提出します。
2.休業給付−通勤災害の場合−
(1)支給事由
休業給付は、労働者が通勤による傷病で療養したため労働できず、賃金を受けない日が通算して4日以上となった場合に支給されます。
(2)給付の概要
休業補償給付と同一です。ただし、最初の休業給付の支給分からは、一部負担金(200円)が控除して支払われます。
また、最初の3日間(待機期間)については、休業補償給付と異なり、事業主に労働基準法上の休業補償を行う責任は生じません。
(3)手続き
「休業給付支給請求書」(様式第16号の6)を、被災労働者の勤務先を管轄する労働基準監督署長に提出します。
3.第三者行為災害届
災害が第三者(加害者)の行為によって起こった場合には、「第三者行為災害届」についても労働基準監督署長に提出することが必要とされています。
第三者行為災害届には、交通事故証明書(交通事故の場合)、示談書の写し(示談成立の場合)、念書等の書類を添付することが必要とされています。
【参考ホームページ】
【関連ページ】