交通事故では転倒時等に頭部や首などに大きな外力が加わって頚椎を骨折してしまい、痛みや可動域制限、脊髄損傷による麻痺等の後遺障害が残ってしまうことがあります。
ここでは頚椎の脱臼骨折の概要、治療、後遺障害等級との関係などについて記載しています。
1.頚椎脱臼骨折の概要
脱臼骨折は、①頭頂部に衝撃が加わり頚椎が過屈曲して生じる場合と②額や顔面に衝撃が加わり頚椎が過伸展して生じる場合に大きく分けられます。
①では脱臼した椎間関節が互いにかみ合いますが、片側性と両側性があります。②では両側か片側の椎弓や椎間関節の骨折を起こし、前方脱臼をきたします。
2.頚椎脱臼骨折の治療
損傷を受けた頚椎が安定性か不安定性かで治療法は違っています。
脱臼骨折の多くは不安定型損傷とされ、一般的には観血的治療がとられます。椎間関節に脱臼がみられる場合、頭蓋直達牽引で脱臼の整復を行ったのちに後方固定術を行う方法と、観血的に整復し固定を行う方法があります。
3.後遺障害等級との関係
(1)認定基準
頚椎脱臼骨折による障害に関する認定基準は、下記のとおりです。
◇疼痛等感覚障害(受傷部位の疼痛及び疼痛以外の感覚障害)
(2)認定される等級
脱臼骨折がエックス線写真等で確認できる場合は、脊柱の変形障害として11級以上の等級が認定されます。脱臼骨折により頚部の可動域が参考可動域の1/2以下に制限されたときには、脊柱の運動障害として8級が認定されます。
脊髄損傷による麻痺等を伴う場合は、神経系統の障害として総合的に評価され9級以上の等級が認定されます。
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