交通事故では主にバイクや自転車に乗った方が転倒したときなどに中手骨を骨折し、可動域制限、変形や痛み等の後遺障害が残ってしまうことがあります。
ここでは中手骨骨折の概要、治療、後遺障害等級との関係などについて記載しています。
1.中手骨骨折の概要
中手骨骨折は骨幹部骨折、頚部骨折ともに骨間筋の緊張によって掌屈転位を起こし、各中手骨によってどの程度の変形が許容されるか異なるとされています。
2.中手骨骨折の特徴等
(1)指交叉・離開変形
中手骨・指節骨骨折の治療で回旋変形を残すと、より遠位の関節の屈伸で指が隣接する指と交叉するようになります。把持動作などで隣接指間の強い圧迫から痛みを訴えるようになり、矯正骨切りが必要となることがあります。
(2)第1中手骨骨折
骨幹部骨折は掌屈転位傾向が強く、掌屈が残れば母指の復位運動(手を平らに広げるときの運動)に障害が残ります。保存療法で整復位が保てない場合にはピンニングを行うとされています。
(3)第2、第3中手骨骨折
第2、第3中手骨はCM関節がほとんど動かないため、掌屈変形が残ると骨折部の手の甲での膨隆が目立つとともに、把持動作で中手骨骨頭が手のひらに突き出して痛みの原因となります。
第2、第3中手骨では変形治癒の許容範囲は10°以下とされており、整復固定をしても変形が残る場合にはピンニング、プレート固定などの対象とされています。
(4)第4、第5中手骨骨折
第4、第5中手骨はCM関節での可動域が大きいため、掌屈変形の許容される範囲は20°〜40°と広いとされています。しかし変形治癒では外観上の問題や痛みを訴える例があるため、できる限り徒手整復し外固定を行うこととされています。
3.後遺障害等級との関係
中手骨骨折後に可動域制限が残った場合には、13級以上の等級が認定されることがあります。また、痛みなどの症状が残った場合には、12級もしくは14級の等級が認定されることがあります。
◇むち打ち・骨折等による痛み・しびれ(軽度神経症状)の等級認定のポイント
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