交通事故では転倒時等に足首に大きな外力が加わることによって、距骨を骨折してしまい、歩行障害、関節可動域制限、痛み等の後遺障害が残ってしまうことがあります。
ここでは距骨骨折の概要、症状、治療、後遺障害等級との関係などについて記載しています。
1.距骨骨折の概要
距骨骨折は足根骨の中では踵骨の次に多い骨折です。転倒時など足部が背屈位に強制されたときに脛骨の前方部が距骨の頚部に衝突して骨折が生じます(頚部骨折)。
距骨は表面の約60%が軟骨で覆われており、筋の起始部と停止部がなく血流の供給路が限定されるため、骨折後に骨壊死が起こる割合が高いといわれています。
2.距骨骨折の症状
足関節から距骨下関節にかけての著しい腫れと痛みを伴います。
3.距骨骨折の治療
骨折による転位がない場合には5〜6週間のギプス固定が行われます。
徒手整復が困難な場合や転位が大きな場合には観血的整復術が行われます。
4.後遺障害等級との関係
(1)認定基準
距骨骨折後に一定の関節可動域制限(健側の3/4以上制限)が残った場合には、12級以上の等級が認定されます。
一定の関節可動域制限が認められない場合でも、痛みなどの症状が残った場合には、12級もしくは14級の等級が認定されることがあります。
◇むち打ち・骨折等による痛み・しびれ(軽度神経症状)の等級認定のポイント
(2)参考事例
①距骨骨折後の足関節可動域制限について自賠責後遺障害10級10号が認定された事例
②大腿骨骨折・下腿開放骨折・足関節骨折等後の関節機能障害等について自賠責後遺障害併合8級が認定された事例
③橈骨頭骨折・肘骨折・踵骨骨折等による関節可動域制限・疼痛・CRPS等について障害年金2級が認定された事例
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