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 交通事故では頭部の受傷により、四肢等に麻痺(身体性機能障害)の後遺障害が残ってしまうことがあります。

 ここでは、自賠責保険の後遺障害等級で準拠している労災保険の認定基準で規定されている脳損傷による身体性機能障害の認定基準を記載しています。

 

【脳損傷による身体性機能障害の基準】

 脳損傷による身体性機能障害については、麻痺の範囲(四肢麻痺、片麻痺、単麻痺)及びその程度(高度中等度軽度)並びに介護の有無及び程度により障害等級が認定されます。

 麻痺の程度については、運動障害(運動性、支持性、巧緻性及び速度についての支障)の程度をもって判断されます。

 自賠法施行令

 労災保険の認定基準

別表第一

1級1号

神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの

「身体性機能障害のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、常に他人の介護を要するもの」

a 高度の四肢麻痺

b 中等度の四肢麻痺で、食事・入浴・用便・更衣等に常時介護を要する

c 高度の片麻痺で、食事・入浴・用便・更衣等に常時介護を要する 

別表第一

2級1号

神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの

「身体性機能障害のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、随時介護を要するもの」

高度の片麻痺

中等度の四肢麻痺で、 食事・入浴・用便・更衣等に随時介護を要する 

別表第二

3級3号

神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの

「生命維持に必要な身のまわり処理の動作は可能であるが、身体性機能障害のため労務に服することができないもの」

a 中等度の四肢麻痺(1級、2級に該当するものを除く)

別表第二

5級2号

神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの

「身体性機能障害のため、きわめて軽易な労務のほかに服することができないもの」

a 軽度の四肢麻痺

b 中等度の片麻痺

高度の単麻痺

別表第二

7級4号

神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの

「身体性機能障害のため、軽易な労務以外には服することができないもの」

a 軽度の片麻痺

b 中等度の単麻痺 

別表第二

9級10号

神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの

「通常の労務に服することはできるが、身体性機能障害のため、社会通念上、その就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの」

a 軽度の単麻痺

別表第二

12級13号

局部に頑固な神経症状を残すもの

「通常の労務に服することはできるが、身体性機能障害のため、多少の障害を残すもの」

a 運動性、支持性、巧緻性および速度についての支障がほとんど認められない程度の軽微な麻痺。

 また、運動障害は認められないものの、広範囲にわたる感覚障害が認められるものも該当。 

 

【麻痺の程度の意義と具体例】

 

 意 義

 具体例

高度

 

障害のある上肢又は下肢の運動性・支持性がほとんど失われ、障害のある上肢又は下肢の基本動作(下肢においては歩行や立位、上肢においては物を持ち上げて移動させること)ができないもの

ⅰ)完全強直またはこれに近い状態にあるもの

ⅱ)上肢においては、三大関節及び5つの手指のいずれの関節も自動運動によっては可動させることができないもの又はこれに近い状態にあるもの

ⅲ)下肢においては、三大関節のいずれも自動運動によっては可動させることができないもの又はこれに近い状態にあるもの

ⅳ)上肢においては、随意運動の顕著な障害により、障害を残した一上肢では物を持ち上げて移動させることができないもの

ⅴ)下肢においては、随意運動の顕著な障害により、障害を残した一下肢の支持性及び随意的な運動性をほとんど失ったもの

中等度

 

障害のある上肢又は下肢の運動性・支持性が相当程度失われ、障害のある上肢又は下肢の基本動作にかなりの制限があるもの

ⅰ)上肢においては、障害を残した一上肢では仕事に必要な軽量のもの(概ね500g)を持ち上げることができないもの又は障害を残した一上肢では文字を書くことができないもの

ⅱ)下肢においては、障害を残した一下肢を有するため杖若しくは硬性装具なしには階段を上ることができないもの又は障害を残した両下肢を有するため杖若しくは硬性装具なしには歩行が困難であること

軽度

 

障害のある上肢又は下肢の運動性・支持性が多少失われ、障害のある上肢又は下肢の基本動作を行う際の巧緻性及び速度が相当程度損なわれているもの

ⅰ)上肢においては、障害を残した一上肢では文字を書くことに困難を伴うもの

ⅱ)下肢においては、日常生活は概ね独歩であるが、障害を残した一下肢を有するため不安定で転倒しやすく、速度も遅いもの又は障害を残した両下肢を有するため杖若しくは硬性装具なしには階段を上ることができないもの

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