交通事故では足(下腿)に直接の外力を受けるなどして、脛骨、腓骨を骨折してしまい、場合によっては、偽関節等の後遺障害が残ってしまうことがあります。
ここでは下腿骨骨折(脛・腓骨骨折)の概要、後遺障害等級との関係などについて記載しています。
1.下腿骨骨折(脛・腓骨骨折)の概要
下腿骨は外力にさらされる部位のため、直達外力による場合が多く、開放骨折になりやすいといわれています。
直達外力では、脛骨と腓骨の両方の骨が同じ高さで横骨折か斜骨折を起こし、下腿骨中・下1/3部で骨折を起こしやすいとされています。そしてこの部位は、血流が悪く、骨癒合が不良のため、偽関節をつくりやすいとのことです。
2.下腿骨骨折(脛・腓骨骨折)の治療
下腿骨骨折の治療は、転位の小さいものは保存療法(徒手整復とギプス固定)がとられますが、転位が大きいものや同じ骨が2ヶ所で折れた場合などには、脛骨にキュンチャー髄内釘などの内固定材を用いる手術療法がとられます。
手術後1〜3週間でギプスを取って松葉杖歩行を行い、筋力増強訓練や荷重歩行などを開始し、2〜3ヶ月で松葉杖をとるようにするとされています。
3.後遺障害等級との関係
(1)認定基準
下腿骨骨折後に、偽関節などの一定の変形障害が残った場合には、12級以上の等級が認定されます。
変形障害が認められない場合でも、痛みなどの症状が残った場合には、12級もしくは14級の等級が認定されることがあります。
(2)参考事例
①脛腓骨骨幹部粉砕骨折・足関節外果骨折・CRPS等による可動域制限・痛み・痺れ等について自賠責後遺障害併合6級が認定された事例
②両膝骨折・靭帯損傷後の動揺関節等について労災障害等級併合6級が認定された事例
②大腿骨骨折・下腿開放骨折・足関節骨折等後の関節機能障害等について自賠責併合8級が認定された事例
③腓骨骨折後の痛みについて自賠責後遺障害非該当から12級に変更された事例
④脛骨近位端骨折後の痛み等について自賠責後遺障害12級13号が認定された事例
⑤脛骨骨折後の足関節可動域制限等について自賠責後遺障害併合12級が認定された事例
⑥下腿骨骨折後の疼痛・痺れ等について労災障害等級14級が認定された事例
⑦下肢デグロービング損傷後の足関節可動域制限・抑うつ等について障害年金非該当から3級に変更された事例(審査請求)
【関連ページ】