交通事故では衝突時や転倒時などに大腿骨を骨折してしまうことがあります。
大腿骨の骨折は、骨折した部位などにより、大腿骨頚部骨折、大腿骨骨幹部骨折などに分けられますが、ここでは大腿骨骨幹部骨折の概要を記載しています。
1.大腿骨骨幹部骨折の概要
大腿骨骨幹部骨折は、ほとんどが直達外力によって生じるとされています。骨片は筋肉のはたらきにより転位してしまい、成人では特に筋力が強大なためこれらの転位を徒手や牽引にって整復することや、骨癒合まで整復位を保持することも困難であると言われています。このため手術療法が多くとられるとのことです。
2.大腿骨骨幹部骨折の治療
成人の大腿骨骨幹部骨折の場合は、上記のとおり手術療法が多くとられ、キュンチャー髄内釘やエンダー釘など強固な内固定が行われます。
大腿骨骨幹部骨折の骨癒合には、通常10〜12週間かかると言われていますが、髄内釘手術後1週間で関節の自動運動が始められ、4週間後には松葉杖歩行、6週間後には体重負荷による歩行が可能になるとされています。
3.後遺障害等級との関係
(1)認定基準
大腿骨骨幹部骨折による障害に関する認定基準は、下記のとおりです。
◇疼痛等感覚障害(受傷部位の疼痛及び疼痛以外の感覚障害)
(2)認定される等級
大腿骨骨幹部骨折により一定の変形障害が残った場合には、12級以上の等級が認定されます。
変形障害が認められない場合でも、痛みなどの症状が残った場合には、12級もしくは14級の等級が認定されることがあります。
(3)参考事例
①大腿骨骨折・下腿開放骨折・足関節骨折等後の関節機能障害等について自賠責併合8級が認定された事例
②右大腿骨骨幹部骨折等後の右下肢痛について自賠責後遺障害非該当から14級に変更された事例
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