交通事故では衝突時や転倒時などに前腕骨(橈骨、尺骨)を骨折してしまうことがあります。
前腕骨の骨折は、骨折した部位などにより、骨幹部骨折、モンテジア骨折、橈骨遠位端骨折(コーレス骨折、スミス骨折)などに分けられますが、 ここでは骨幹部骨折の概要を記載しています。
1.前腕骨骨幹部骨折の概要
前腕骨骨幹部骨折では、衝突などの直接的な外力では橈骨と尺骨のほぼ同じ高さで折れる横骨折と、転倒したときなどの外力では高さの異なる両方の骨の斜骨折を起こすことが多いと言われています。
2.前腕骨骨幹部骨折の治療
前腕骨骨幹部骨折は、整復と固定を保持することが難しく、遷延治癒骨折や偽関節になりやすいとされています。
また、前腕の回内・回外運動制限が起こりやすいため、観血的整復と強固な内固定、そして早期の運動訓練が必要とされています。
3.後遺障害等級との関係
(1)認定基準
前腕骨に一定の変形障害が残った場合には、7級(1上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの)、8級(1上肢に偽関節を残すもの)もしくは12級(長管骨に変形を残すもの)の等級が認定されます。
変形障害が認められない場合でも、痛みなどの症状が残った場合には、12級もしくは14級の等級が認定されることがあります。
(2)参考事例
①上腕骨近位端骨折・橈骨頭骨折後の肩関節機能障害・複合性局所疼痛症候群(CRPS)について自賠責後遺障害併合7級が認定された事例
②左前腕骨骨折・上腕骨等骨折後の左上肢機能障害・醜状障害等について自賠責後遺障害併合10級が認定された事例
③橈骨頭骨折・肘骨折・踵骨骨折等による関節可動域制限・疼痛・CRPS等について障害年金2級が認定された事例
④前腕不全切断後の手関節・手指関節可動域制限などについて労災障害等級6級が認定された事例
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