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 交通事故では衝突時や転倒時などに上腕骨を骨折してしまうことがあります。

 上腕骨の骨折は、骨折した部位により、上端部骨折骨幹部骨折、下端部骨折に大きく分けられますが、 ここでは下端部骨折の概要を記載しています。

 

1.上腕骨下端部骨折の概要

 上腕骨下端部骨折は、骨折の部位により、顆上骨折、外顆骨折、内上顆骨折、通顆骨折などに分類されますが、このうち頻度が高いとされるのは、顆上骨折と外顆骨折です。

(1)上腕骨顆上骨折

 上腕骨顆上骨折は、5〜12歳くらいの小児が手をついて転倒したときに多く発生するとされる骨折です。倒れたときに手を伸ばしていたかどうかにより、伸展骨折と屈曲骨折に分けられますが、伸展骨折が圧倒的に多いとされます。

 ◇上腕骨顆上骨折の説明(日本整形外科学会)

 

(2)上腕骨外顆骨折

 上腕骨外顆骨折は、小児の肘関節周辺の骨折の中で、顆上骨折に次いで多いとされる骨折で、転倒や転落により発生しやすいと言われています。

 ◇上腕骨の図・説明(weblio辞書) 

 

2.上腕骨下端部骨折の治療

(1)上腕骨顆上骨折

 上腕骨顆上骨折では、徒手整復もしくは牽引を行いギプス固定が行われますが、整復が不完全な場合、成人の場合、血管・神経損傷のある場合などには手術療法がとられることがあります。 

 合併症として、橈骨神経・正中神経損傷、内反肘変形などが起こることがあります。

 

(2)上腕骨外顆骨折

 上腕骨外顆骨折の多くは徒手整復が困難で、手術療法が必要とされています。

 転位が放置されると偽関節が生じやすく、外反肘変形をきたし、長い年月(20〜40年ほど)の後に遅発性尺骨神経麻痺を起こすことがあるとされます。

 

3.後遺障害等級との関係

(1)認定基準

 肘関節に可動域制限(健側の3/4以上)が残った場合には、12級以上の等級が認定されます。

 上腕骨に一定の変形障害が残った場合には、7級(1上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの)、8級(1上肢に偽関節を残すもの)もしくは12級(長管骨に変形を残すもの)の等級が認定されます。

 関節可動域制限や変形障害が認められない場合でも、痛みの症状が残った場合には、12級もしくは14級の等級が認定されることがあります。また、橈骨神経麻痺などの神経麻痺が残った場合は、12級の等級が認定されます。 

 ◇上肢の欠損又は機能障害の後遺障害等級

 ◇上肢の変形障害(上腕骨又は前腕骨の後遺障害等級)

 

(2)参考事例

上腕骨近位端骨折・橈骨頭骨折後の肩関節機能障害・複合性局所疼痛症候群(CRPS)について自賠責後遺障害併合7級が認定された事例

左前腕骨骨折・上腕骨等骨折後の左上肢機能障害・醜状障害等について自賠責後遺障害併合10級が認定された事例

肩関節脱臼・上腕骨近位端骨折・小指基節骨骨折後の可動域制限・痛み等について自賠責後遺障害併合13級から併合9級に変更された事例

 

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