交通事故によって骨盤を骨折してしまい、ときには骨盤の変形や神経損傷などの後遺障害が残ってしまうようなケースもあります。
ここでは、骨盤骨折の概要、後遺障害等級との関係等について整理しています。
1.骨盤骨折の概要
骨盤は、仙骨と寛骨という骨からなる環状構造をしており、下肢からの力を受け止めています。骨盤の骨折は、強大な外力が加わることによって発生しますので、出血性ショック、後腹膜血腫、骨盤内の臓器の損傷などの合併損傷を伴うことも多いとされます。
2.骨盤骨折の治療
保存療法が基本となりますが、転位の大きいもの、骨折部の不安定性の大きい強いものは手術療法が必要となります。
手術が必要となる主な骨折として下記が挙げられます。
(1)マルゲーヌ骨折
骨盤輪に2か所以上骨折があり、骨盤輪が垂直方向に離断される骨折。
(2)寛骨臼骨折
①股関節後方脱臼骨折
大腿骨骨頭が股関節の関節包を突き破って後方に脱出、寛骨臼の後方辺縁を骨折。
坐骨神経麻痺や大腿骨頭壊死などを起こすことがあります。
②中心性股関節脱臼骨折
大腿骨骨頭が股関節の寛骨臼を突き破って骨盤内に脱臼
3.後遺障害等級との関係
(1)認定される等級
骨盤骨に著しい変形(裸体となったときに変形が明らかに分かる程度)が残った場合は、自賠責保険において12級が認定されます。
また、股関節に可動域制限(健側の3/4以上)が残った場合は、12級以上の等級が認定されます。
神経麻痺が残ってしまった場合は、12級が認定されます。
(2)参考事例
①骨盤骨折(坐骨・恥骨骨折)後の関節可動域制限・痛み等について自賠責後遺障害併合14級から併合12級に変更された事例
②骨盤骨折の下肢の痺れ等について自賠責後遺障害併合14級から併合12級に変更された事例
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