交通事故では、鎖骨や肋骨を骨折してしまうことが多くあります。ここでは鎖骨骨折と肋骨骨折の概要、後遺障害等級との関係等について記載しています。
1.鎖骨骨折
(1)鎖骨骨折の概要
鎖骨はS字状に曲がっているため、たいへん折れやすい骨で、肩をついて倒れたときや肩の外側からの衝撃(介達外力)によって起こることが多いといわれています。
鎖骨骨折の好発部位は、鎖骨の外側から1/3の部分とされています。
(2)鎖骨骨折の治療法
骨癒合が良好なため、保存療法が基本とされ、鎖骨バンド等で固定して治るとされています。
もっとも、遠位端(鎖骨の外側の端の方)の骨折や第3骨片がある場合などには、手術が必要となることが多いとされています。
2.肋骨骨折
(1)肋骨骨折の概要
肋骨骨折の合併症として胸膜や肺の損傷を起こすことがあり、注意が必要とされます。
(2)肋骨骨折の治療
保存療法が基本とされ、バストバンドなどで固定して治るとされています。
3.後遺障害等級との関係
(1)認定基準
鎖骨骨折、肋骨骨折に関連する後遺障害認定基準は、下記のとおりです。
(2)認定される等級
①変形障害と疼痛
鎖骨、肋骨等の骨に変形が残り、裸体となったときに変形が明らかに分かる程度のものと認められる場合は、12級が認定されます。
変形の程度が、裸体となったときに明らかに分かる程度に至っていなくても、痛みの症状が残ってる場合は、14級が認定される可能性があります。
②肩関節の可動域制限
鎖骨骨折では、手術・固定をしたときなど、肩関節に拘縮をきたし、可動域制限が生じてしまうことがあります。健側と比べて3/4以下に制限されている場合には、12級以上の等級が認定される可能性があります。
(3)参考事例
①脳挫傷等による記憶障害・てんかん等の高次脳機能障害について自賠責後遺障害5級が認定された事例
②肺挫傷による息切れ、脾臓摘出、肋骨の変形障害などについて自賠責後遺障害13級から併合11級に変更された事例
③頭蓋骨骨折・頚椎骨折・鎖骨骨折等後のめまい・肩関節可動域制限等について自賠責後遺障害併合11級が認定された事例
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