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 交通事故では頭部に衝撃を受けて、急性硬膜外血腫が発生し、麻痺等の障害が残ってしまうことがあります。

 ここでは、急性硬膜外血腫の概要、症状、治療、後遺障害等級との関係についてまとめています。

 

1.急性硬膜外血腫とは

 硬膜外血腫は、硬膜の外側=頭蓋骨と硬膜の間に出血し、出血がたまって血腫を形成したものです。

 硬膜外血腫とは一般に急性硬膜外血腫を意味することが多く、慢性硬膜下血腫が起こることは非常にまれと言われています。

 急性硬膜外血腫は、衝撃部位の直下に頭蓋骨骨折を伴って発生することが多く、側頭部によく発生するとされています。そして出血源は、硬膜(中硬膜動脈・静脈)が最も多いとのことです。

 画像(CT)で、血腫の部分が両凸レンズ状に見える場合が、典型的な急性硬膜外血腫とされます。

2.急性硬膜外血腫の症状

 急性硬膜外血腫の症状として、意識障害があります。意識清明期を経てから、意識障害が出現するというのが典型的なケースとされています(硬膜は頭蓋骨にくっついていて血腫が徐々に大きくなるため)。

 意識障害のほかに、血腫によって脳が圧迫されることで運動麻痺、言語障害、脳神経症状などが現れることもあります。

 

3.急性硬膜外血腫の治療

 急性硬膜外血腫のほとんどの場合に、血腫を除去し、止血を行う手術が行われます。血腫が小さく増大していない場合や神経症状がない場合には、保存的治療が行われます。

 早期に治療を行えば、後遺障害が残ることは少ないと言われています。

 

4.後遺障害等級との関係

(1)認定される等級

 急性硬膜外血腫によって残った症状により、認定される等級は異なってきます。

 高次脳機能障害や麻痺が残った場合は、基本的には9級以上の等級が認定されます。

 ◇高次脳機能障害の等級認定のポイント

 ◇脳損傷による麻痺(身体性機能障害)の後遺障害等級 

 

(2)取扱事例

脳挫傷による高次脳機能障害について自賠責後遺障害2級が認定された事例

外傷性くも膜下出血・脳挫傷等後の高次脳機能障害について自賠責後遺障害5級から3級に変更された事例

外傷性くも膜下出血・びまん性脳損傷等後の高次脳機能障害等について自賠責後遺障害併合4級が認定された事例

脳挫傷等による記憶障害・てんかん等の高次脳機能障害について自賠責後遺障害5級が認定された事例

脳損傷による高次脳機能障害・嗅覚障害等について自賠責後遺障害併合8級が認定された事例

脳挫傷・外傷性くも膜下出血等による高次脳機能障害・めまい・嗅覚障害等について自賠責後遺障害併合8級が認定された事例

脳挫傷による物忘れ・てんかん等の高次脳機能障害について自賠責後遺障害9級から7級に変更された事例

脳挫傷等による神経症状について自賠責後遺障害併合12級が認定された事例

 

【参考ホームページ】

◇脳神経外科疾患情報ページ:急性硬膜外血腫

【関連ページ】

◇治療先と後遺障害等級認定

◇高次脳機能障害の等級認定のポイント

◇頭部・脳の構造

◇軟部組織の損傷、脳震盪の基礎知識

◇頭蓋骨骨折の基礎知識

◇脳挫傷の基礎知識

◇びまん性軸索損傷の基礎知識

◇急性硬膜下血腫の基礎知識

◇外傷性くも膜下出血の基礎知識

◇外傷性てんかんの基礎知識

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