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 交通事故では頭部への衝撃により、びまん性軸索損傷(DAI)と呼ばれる脳の損傷を受けて、重い高次脳機能障害が残ってしまうことがあります。

 ここでは、びまん性軸索損傷(DAI)の概要についてまとめています。

 

1.びまん性軸索損傷(DAI)とは

 脳外傷は、局所性脳損傷とびまん性脳損傷に大きく分けられます。

 局所性脳損傷は、外傷の直線的な衝撃が脳の限られた部位に集中することにより生じる損傷です(脳挫傷、頭蓋内血腫など)。

 これに対して、びまん性脳損傷は、回転加速度を生じるような衝撃(剪断力)による損傷で、脳全体に脳実質損傷が生じます。

 びまん性軸索損傷は、びまん性脳損傷のひとつで(脳震盪もびまん性脳損傷のひとつとされています)、脳に広範な剪断力が加わることによって、軸索(指令を出すための長く伸びた繊維)に断裂が生じることをいいます。

 

2.びまん性軸索損傷(DAI)の症状

 受傷直後から高度の意識障害が生じます。

 退院後の症状として、記憶障害、集中力、判断力の低下といった認知障害と攻撃的になったり、感情が変わりやすいといった人格変化が現れることが特徴とされています。

 

3.びまん性軸索損傷(DAI)の診断

 診断にはMRIが有用とされています。MRIでは、経時的に出血、脳室脳梁海馬等の変化等について確認されます。

 

4.後遺障害等級との関係

(1)認定される等級

 上記2に記載したような症状(高次脳機能障害)が残った場合は、自賠責保険では基本的には9級以上の等級が認定されます。

 ◇自賠責保険の高次脳機能障害等級認定のポイント

 ◇脳損傷による麻痺(身体性機能障害)の後遺障害等級 

 

(2)取扱事例

脳挫傷による高次脳機能障害について自賠責後遺障害2級が認定された事例

外傷性くも膜下出血・脳挫傷等後の高次脳機能障害について自賠責後遺障害5級から3級に変更された事例

外傷性くも膜下出血・びまん性脳損傷等後の高次脳機能障害等について自賠責後遺障害併合4級が認定された事例

脳挫傷等による記憶障害・てんかん等の高次脳機能障害について自賠責後遺障害5級が認定された事例

脳損傷による高次脳機能障害・嗅覚障害等について自賠責後遺障害併合8級が認定された事例

脳挫傷・外傷性くも膜下出血等による高次脳機能障害・めまい・嗅覚障害等について自賠責後遺障害併合8級が認定された事例

脳挫傷による物忘れ・てんかん等の高次脳機能障害について自賠責後遺障害9級から7級に変更された事例

脳挫傷等による神経症状について自賠責後遺障害併合12級が認定された事例

 

【関連ページ】

◇治療先と後遺障害等級認定

◇頭部・脳の構造

◇軟部組織の損傷、脳震盪の基礎知識

◇頭蓋骨骨折の基礎知識

◇脳挫傷の基礎知識

◇急性硬膜外血腫の基礎知識

◇急性硬膜下血腫の基礎知識

◇外傷性くも膜下出血の基礎知識

◇外傷性てんかんの基礎知識

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