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事件番号 | 平成5(オ)1958 |
事件名 | 損害賠償請求事件 |
裁判年月日 | 平成8年5月31日 |
法廷名 | 最高裁判所第二小法廷 |
裁判種別 | 判決 |
結果 | 棄却 |
判例集 | 交民集29巻2号649頁 |
原審裁判所名 | 東京高等裁判所 |
原審事件番号 | |
原審裁判年月日 | 平成5年7月19日 |
判示事項 | 第一事故によって左膝と右手指を骨折し、後遺障害を残したAが、症状固定の診断から約3ヶ月後に別の交通事故で死亡した事案について、第一事故による後遺障害逸失利益の算定上、死亡の事実を就労可能期間の算定の際に考慮すべきかどうか、また、生活費を控除すべきかどうか。 |
裁判要旨 | 貝採事件判決の判旨を引用し、後遺障害逸失利益の算定については、特段の事情がある場合を除き、死亡の事実を就労可能年数の算定上考慮すべきでないとして、さらに以下のように判示した。 「右のように解すべきことは、被害者の死亡が病気、事故、自殺、天災等のいかなる事由に基づくものか、死亡につき不法行為等に基づく責任を負担すべき第三者が存在するかどうか、交通事故と死亡との間に相当因果関係ないし条件関係が存在するかどうかといった事情によって異なるものではない。本件のように被害者が第二の交通事故によって死亡した場合、それが第三者の不法行為によるものであっても、右第三者の負担すべき賠償額は最初の交通事故に基づく後遺障害により低下した被害者の労働能力を前提として算定すべきものであるから、前記のように解することによって初めて、被害者ないしその遺族が、前後2つの交通事故により被害者の被った全損害についての賠償を受けることが可能となるのである。」 生活費の控除について、「交通事故の被害者が事故に起因する後遺障害のために労働能力の一部を喪失した後に死亡した場合、労働能力の一部喪失による財産上の損害の額の算定に当たっては、交通事故と被害者の死亡との間に相当因果関係があって死亡による損害の賠償をも請求できる場合に限り、死亡後の生活費を控除することができると解するのが相当である。けだし、交通事故と死亡との間の相当因果関係が認められない場合には、被害者が死亡により生活費の支出を必要としなくなったことは、損害の原因と同一原因により生じたものというこことができず、両者は損益相殺の法理又はその類推適用により控除すべき損失と利得との関係にないからである」として、生活費の控除をしなかった原審判決を支持した。 |
参照法条 | 民法709条 |
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