交通事故の後に肩こり・肩甲部痛、上肢のしびれ・痛み・だるさといった症状が現れ、胸郭出口症候群と診断されることもあります。
ここでは胸郭出口症候群の概要、症状、診断のポイント、治療、後遺障害等級との関係についてまとめています。
1.胸郭出口症候群とは
胸郭出口症候群とは、胸郭の出口部(前斜角筋・中斜角筋、第1肋骨、鎖骨、小胸筋で囲まれた部分)で、腕神経叢と鎖骨下動・静脈が頚肋などの骨の変形などによって圧迫されて生じる症候群をいいます。
胸郭出口症候群は、斜角筋症候群、肋鎖症候群、過外転症候群などに分類されます。
若い女性、なで肩の女性、パソコンを長年やっている人に多いといわれています。
2.胸郭出口症候群の診断
自覚症状と経過から十分に推定が可能とされていますが、症状を誘発する下記のテストが行われます。また、血管造影で狭窄所見が見られることも診断のポイントとして挙げられます。
(1)モーレイテスト
鎖骨上窩で腕神経叢を指で圧迫する → 圧痛、上肢への放散痛を訴える
(2)アドソンテスト
頭部を患側に回旋させ、深吸気させる → 患側の橈骨動脈の脈拍が停止する
(3)ライトテスト
両上肢を外転、外旋させる → 患側の橈骨動脈の脈拍が停止する
(4)エデンテスト
胸を張り、両肩を後下方に引く → 患側の橈骨動脈の脈拍が停止する
(5)ルーステスト
ライトテストと同じ状態で手指の屈伸を3分間行わせる → 持続困難
3.胸郭出口症候群の症状
神経(腕神経叢)が圧迫されることによる症状−手指・腕のしびれなど−と血管(鎖骨下動脈・静脈)が圧迫されることによる症状−上肢の痛み、手指の痛み・冷感・蒼白など−が混合して現れることが多いといわれています。
4.胸郭出口症候群の一般的な治療
投薬(消炎鎮痛剤等)、温熱等の保存療法が優先されます。重症の場合(ルーステストで1分以下など)には、第1肋骨切除術などの手術が行われます。
5.後遺障害等級との関係
12級に該当するかどうか(血管造影等で症状を裏付ける所見が認められるかどうか)が問題となります。症状を裏付ける所見が認められない場合は、14級に該当するか問題となります。
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