交通事故をきっかけとして、後縦靭帯骨化症(OPLL)による症状があらわれ、重い後遺障害が残ってしまうこともあります。
ここでは後縦靭帯骨化症の概要、症状、診断のポイント、治療、後遺障害等級との関係について記載しています。
1.後縦靭帯骨化症(OPLL)とは
後縦靭帯骨化症とは、後縦靭帯に骨化が生じ、骨化巣の増大により脊髄や神経根を圧迫して、脊髄症状や神経根症状が生じた場合をいいます。
頚椎から腰椎までいずれの部位にも発症しますが、頚椎の頻度が最も高いと言われています。
頚椎後縦靭帯骨化症は、40歳代以降の男性に多く、糖尿病患者の発症が多いとされています。
原因は明らかでなく、厚生労働省により難病指定(特定疾患治療研究対象疾患)されており、治療費は公費負担となっています。
2.頚椎後縦靭帯骨化症(OPLL)の診断
診断のポイントとして、レントゲン写真側面像で後縦靭帯の骨化像が見られること(CTでは骨化の大きさや形態などが、MRIでは脊髄の圧迫の程度などが分かります)、脊髄症と同様の神経学的所見が見られることなどが挙げられます。
3.頚椎後縦靭帯骨化症(OPLL)の症状
手指のしびれ、巧緻運動障害、下肢の歩行障害などの脊髄症状が主に現れます。
4.頚椎後縦靭帯骨化症(OPLL)の一般的な治療
保存的治療として頚椎カラーの装着や頭蓋牽引があります。
脊髄症が重い場合−手指の強いしびれ、はしを使ったりボタンをかけたりすることがうまくできない巧緻運動障害、歩行障害など−には、手術が行われることがあります。
5.後遺障害等級との関係
脊髄症状の場合には、基本的には、9級以上の等級が認定されます(脊髄の障害の等級認定のポイント)。
6.取扱事例
(1)中心性脊髄損傷による巧緻運動障害等について自賠責後遺障害12級から5級に変更された事例
(2)脊髄不全損傷による四肢機能の障害等について自賠責後遺障害12級から9級に変更された事例
(3)頚髄損傷による四肢痺れ等について自賠責後遺障害非該当から現症9級・既存12級に変更された事例
(4)頚髄損傷による四肢痺れ等について労災障害等級9級が認定された事例
(5)頚髄損傷による四肢痺れ等について労災保険で再発が認められた事例
(6)頚髄損傷による両手しびれと歩行困難について障害年金3級が認定された事例
【参考ホームページ】
【関連ページ】