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 交通事故では衝突による衝撃で、に損傷を受けてしまうことが多いです。衝撃の大きさによっては、の筋肉や靭帯だけでなく、神経(脊髄神経根)も損傷を受けてしまうことがあります。

  一般に首の損傷は、症状に基づいて、下記の3つのタイプに分けられると言われています。

  ①頚椎捻挫型

  ②神経根症型

  ③脊髄症(脊髄損傷)型

  ここでは、「③脊髄症(脊髄損傷)型」の診断のポイント、症状の特徴および治療方法の概要、そして、後遺障害等級との関係についてまとめています。

 

1.脊髄とは

 脊髄は、 とともに神経系の中枢(中枢神経)で、手足などの筋肉を動かす命令を から伝えたり、手足からの感覚を に伝える神経です。脊髄中心部の灰白質、その周囲の白質からなります。

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◇脊髄の説明・図(メルクマニュアル医学百科)

◇脊髄の説明・図(weblio辞書)

 

2.脊髄症(脊髄損傷)とは

  脊髄実質の損傷により、痛み・しびれなどの症状、四肢・体幹の運動障害、膀胱・直腸障害などが生じる病態をいいます。

 損傷の程度によって、完全損傷と不全損傷に分かれます。

 (1)完全損傷

 完全な四肢麻痺になります。多くの場合、骨折・脱臼を伴います。

 

(2)不全損傷    

 脊髄横断面の損傷部位によって、下記のように分けられます。

①中心性損傷型

 脊髄の中心部(灰白質)が損傷され、主に上肢の麻痺、手のひどい痛みを呈します。

 3つの中で最も多いタイプです。

②半側損傷型(ブラウンセカール)

 脊髄の半側が損傷され、損傷側の運動障害と深部知覚障害、反対側の表在知覚障害を呈します。このタイプは交通外傷で起こることはほとんどないと言われています。

③横断性損傷型

 脊髄全体が損傷されますが、不全麻痺を呈します。このタイプはあまり発生しないと言われています。

 

3.脊髄症(脊髄損傷)の診断

  診断のポイントとして、①上肢だけでなく下肢にも明らかな神経症状を呈すること、②膀胱・直腸障害があること、が挙げられます。

 

4. 脊髄症(脊髄損傷)の症状

(1)上肢症状

  上肢の運動障害−筋力の低下巧緻運動障害−、知覚障害などの症状を呈します。

 完全麻痺では、損傷された髄節(脊髄は31の分節に分かれています)が支配する筋肉を動かすことができなくなります。

 

(2)下肢症状

  歩行障害(完全麻痺では歩行不能)、知覚障害などの症状を呈します。 

 

(3)膀胱・直腸障害

  失禁、尿閉、便秘といった症状を呈します。

 

5. 脊髄症(脊髄損傷)の一般的な治療

 (1)急性期(事故〜1ヶ月)

 治療は保存療法と手術療法があり、骨・椎間板の損傷、脊髄の圧迫が明らかな場合には手術療法がとられます。

 

(2)亜急性期(13ヶ月)

 骨に損傷がなく、脊髄の圧迫も見られない場合には、保存療法が続けられ、同時に運動療法を中心としたリハビリが行われます。

 なお、この時期の患者の方に、IPS細胞を移植する手術が始まっています。

 

(3)慢性期(3ヶ月超)

 四肢麻痺の場合にはリハビリが中心になります。不全麻痺の場合には、社会復帰に向けての生活指導なども行われます。

 

6.後遺障害等級との関係

(1)認定される等級

 脊髄症(脊髄損傷)の場合、基本的には9級以上の等級が認定されます。

 脊髄損傷の認定基準は、脊髄の障害の等級認定のポイントをご覧ください。

 

(2)参考事例

 脊髄損傷について適切な後遺障害等級が認定された事例を紹介しています。

(1)中心性脊髄損傷による巧緻運動障害等について自賠責後遺障害12級から5級に変更された事例

(2)脊髄不全損傷による四肢機能の障害等について自賠責後遺障害12級から9級に変更された事例

(3)頚髄損傷による四肢痺れ等について自賠責後遺障害非該当から現症9級・既存12級に変更された事例

(4)頚髄損傷による四肢痺れ等について労災障害等級9級が認定された事例

(5)頚髄損傷による四肢痺れ等について労災保険で再発が認められた事例

(6)頚髄損傷による両手しびれと歩行困難について障害年金3級が認定された事例

(令和5年10月7日更新)

 

【参考ホームページ】

◇日本整形外科学会(脊髄損傷)

◇日本整形外科学会(頚椎症性脊髄症) 

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