2.神経根症の診断
診断のポイントとして、①肩・上肢に他覚的な神経症状の存在、②神経根症状誘発テストによる症状の再現性が挙げられます。
①肩・上肢に他覚的な神経症状の存在
b)障害された神経根の支配領域(デルマトーム)に一致して現れる自発痛、放散痛、知覚障害(知覚脱失、知覚鈍麻)
c)障害された神経根が関与する上肢腱反射の異常(減弱や消失)
②神経根症状誘発テストによる症状の再現性
主なテストとして、スパーリングテスト、ジャクソンテストがあります。いずれも、椎間孔が狭くなるように神経根の圧迫を増強する方法です。
3. 神経根症の症状
(1)神経症状
第2〜4頚神経の障害は、後頭部、頚部後側面、上背部を中心に、第5〜8頚神経は肩、腕、手、指に症状が出現します。
(2)上肢の自律神経症状
障害を受けた神経によっては、肩、上肢のしびれ、脱力、重苦感、手の冷感などの自律神経症状が出現します。
4. 神経根症の一般的な治療
(1)急性期(事故〜1ヶ月)
基本的には頚椎捻挫の治療と同じとされています。レントゲンで異常が見られ、それまでの治療で症状の改善が得られないものは、CT、MRI、筋電図検査等の精査が行われます。椎間板ヘルニアによる神経根圧迫が確認され、保存療法に反応しない場合は、手術療法が取られることもあります。
(2)亜急性期(1〜3ヶ月)
急性期に手術療法が取られなかった場合は、保存療法で経過観察されます。検査により障害の部位と症状の再現性を確認し、同時にステロイド剤と局所麻酔剤による神経根ブロックが行われます。また、頚椎牽引、投薬等が併用され、神経根周囲の圧迫状況を軽減させます。
(3)慢性期(3ヶ月超)
手術療法が取られず、かつ、症状が続く場合は、保存療法で経過観察されます。症状が悪化した場合には、CT、MRI、筋電図検査等で再検査が行われます。
5.後遺障害等級との関係
「神経根症型」の場合には、自覚症状だけでなく、他覚的な神経症状も見られますので、14級9号に該当するかどうかだけでなく、12級13号に該当するかどうかも問題となります。
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