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事件番号 昭和54(オ)34・昭和55(オ)410
事件名 保険金請求事件  
裁判年月日 昭和57年1月19日
法廷名 最高裁判所第三小法廷
裁判種別 判決
結果 棄却
判例集

交民集15巻1号1頁

原審裁判所名 大阪高等裁判所
原審事件番号  
原審裁判年月日

昭和53年10月17日

判示事項

被害者Aが、盛土にはまって自力で動けないダンプカー(甲車)とこれをワイヤーで牽引しようとしていたブルドーザー(乙車)の間に入り、乙車後部に立ててあった鉄棒を握っていたところ、バックした乙車と甲車の間にはさまれて死亡した事故について、甲車の運行によって生じたものといえるかどうか。

裁判要旨

原審の適法に確定した事実関係のもとにおいて、訴外Aは甲車の運行によって傷害を受けたために死亡したものであるとした原審の判断は、正当として是認することができる。

 

<控訴審の判断>

本件事故の態様、事実関係は、原判決理由に示すとおりであり、乙車が後退して甲車の前部に衝突し、鉄棒を手で握っていたAが甲車に胸部を押し付けるような姿勢で、胸・背部を右両車にはさみつけられて強打されたため、受傷して死亡したのであるから、Aは、甲車運行に因って傷害を受け死亡したものということができる。

 

<一審の判断>

Aの胸・背部の打撲は甲車の場所的な移動によって生じたものではなく、直接は乙車の後進によって生じたものではあるが、甲車が当該場所に停車、存在してなければ発生しなかったものであり、また、同車はその場所に継続的かつ静然と停車していた訳ではなく、同車の運転者Bはエンジンを始動し、アクセルを踏んで乙車の牽引に応じて甲車を前進させようと同車の走行、操縦動作をしていたものであるから同車の当該装置の用い方に従い同車を使用していた場合にあたり、運行中にあったものであるので、その状態にあった同車の存在とAの被害との間に因果関係があったことは優に首肯できる。のみならず、本件の場合、甲車と乙車は至近距離にあり、かつ、甲車の走行装置は始動していることからすると、比較的継続した牽引走行とは異なり、乙車は甲車が盛土から脱出するために一時的に牽引の用に供された補助道具とみられ、また乙車の運転者Cは甲車の走行のための運転補助者とみられることから、乙車の瞬時的な走行は法律的に甲車の走行のための運行と同視される。したがって、Aの被害は甲車の運行によって発生したものというべきである。 

参照法条 自賠法2条2項、自賠法3条

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