昭和42(オ)88

判例時報497号41頁

職人A（職人Yと同じ職場で働いたことがある）が、Y保有の自動車で営業所長宅に行き、そこで泥酔状態になったため、YはAをそのまま泊めてもらうように言ったが、Aは急用で帰る必要のあるY保有の自動車の助手席に無理に乗り込み、Yが運転して出発したところ、衝突事故によってAが死亡した事故について、Aの他人性が認められるかどうか。

自動車損害賠償保障法第３条本文にいう「他人」とは、自己のために自動車を運行の用に供する者および当該自動車の運転者を除くそれ以外の者をいうものと解するのが相当であるところ、原審の認定したところによれば、Yは酩酊して同人の車の助手席に乗り込んだAに対し、結局はその同乗を拒むことなく、そのまま右車を操縦したというのであるから、右Aを同条の「他人」にあたるとした原審の判断は相当である。