足関節捻挫(靭帯損傷)の基礎知識
交通事故などでは、足首の捻挫(靭帯損傷)をしてしまうことがあります。ここでは、足関節捻挫の基礎的なことをまとめています。
1.足関節捻挫の概要
捻挫とは、関節に正常な運動範囲を超える力が加わって、関節を補強している靭帯や関節包などの軟部組織が引き伸ばされた状態、または切れた状態をいい、脱臼と異なり、関節面相互の位置関係に乱れがないものをいいます。
捻挫は、足関節、膝関節、肩関節、肘関節、手指の関節で多く起こります。
足関節には、前距腓靭帯、後距腓靭帯、踵腓靭帯、前下脛腓靭帯、後下脛腓靭帯、外側距踵靭帯、頚靭帯といった靭帯がありますが、前距腓靭帯がもっとも損傷されやすいとされています。
2.足関節捻挫の症状
痛み、歩行障害、不安定性などの症状があります。
足関節捻挫の重さは、Ⅰ度:靭帯がのびている、Ⅱ度:靭帯の一部が切れている(部分断裂)、Ⅲ度:靭帯が完全に切れている(完全断裂)、の3つに分けられます。
Ⅰ度は歩行可能で不安定性がない状態、Ⅱ度は痛みによる歩行障害・不安定性が出る状態、Ⅲ度は痛みのため歩行不能もしくは明らかな歩行障害・不安定性が出る状態とされます。
不安定性の評価は、ストレスXPで健側と比較することが有用とされています。
3.足関節捻挫の治療
初期治療は、RICE=rest(休息)、ice(冷却)、compression(圧迫)、elevation(挙上)が原則とされています。
Ⅱ度ではRICEの後にギプス固定・装具療法がとられることがあり、Ⅲ度では不安定性が強い場合に手術療法がとられることがあります。
4.後遺障害等級との関係
足関節に一定の可動域制限が残った場合には12級以上の等級が認められることがあります。また、痛みが残り画像等で客観的な異常所見が認められる場合には12級、自覚症状主体の場合には14級が認められることがあります。
【関連ページ】