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むち打ち症(頚椎捻挫)が交通事故で問題になりやすい要因

  交通事故の受傷ではむち打ち症(頚椎捻挫)が多いですが、損害賠償上、問題となることが少なくありません。その主な要因として、下記の点が考えられます。

〇客観的な異常所見に乏しいことが多いこと

 むち打ち症では客観的な異常所見に乏しく、自覚症状が主体になることが多いです。骨折の場合には骨が折れていることがレントゲン写真などで分かりますが、むち打ち症の場合には、どれくらいの外力が加わったのか、症状はどの程度なのか等は、事故状況、物損状況、画像所見、通院・治療状況などもあわせて総合的に見る必要があります。

 被害者の方からすると当たり前のことでもどかしく感じられるかもしれませんが、被害者以外の人から見ますと、推測の必要な部分が多いと思われます。

〇むち打ち症というだけで軽いと思われてしまうこと

 むち打ち症は統計的には7割の方が3ヶ月以内に治ると言われていますので、事故による怪我としては一般に軽い方と考えられています。

 しかし、むち打ち症の症状の内容や程度は、被害者の方によって大きく異なりますので、被害者の方の訴えが理解されにくいことがあります。

〇むち打ち症は治りにくいことがあること

 むち打ち症は上記のとおり統計的には比較的短い期間で治る一方で、なかなか思うように治らず長期化することも少なくありません。事故時に受けた衝撃の大きさや元々の骨・椎間板の状態などに加えて、周囲の理解が乏しいこともストレスになり、症状の原因や治療法などについて深刻に考えてしまって、転院を繰り返すこともあります。

〇医師もむち打ち症は手間がかかると思っていることがあること

 交通事故によるむち打ち症の治療を面倒に思う病院もあります。本来良くなってよいはずの症状がなかなか良くならないことや保険請求(保険会社とのやりとりなど)に関する手間などが理由として考えられます。


 むち打ち症の問題は、被害者の方と被害者以外の方(医師や保険会社など)との認識のギャップが大きいときほどはっきり現れやすいと思います。

 医師や保険会社は被害者の方の苦痛や気持ちにできるだけ寄り添うこと、また、被害者の方はむち打ち症の特徴や医師などの考え方を知って、あまり深刻になりすぎないことが、むち打ち症の問題を小さくするように思います。

(平成26年4月22日作成)

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